虫姫さま
エンディング
レコ
『アキ!大丈夫!?』
傷ついた少年。名はアキ。
駆け寄るレコの頭にアキの意識が流れ込む。
アキ
『本来、甲獣が出しているレヴィ=センスは、ニンゲンにとっては毒なんだ』
レコ
『…』
アキ
『あの夜、迷子になっていた君に逢った時にはもう遅かった。
君は毒されてしまっていた。』
『そのブレスレットはね、レヴィ=センスを結晶化させたものなんだ。
だから君は里でもちゃんと生活できた。』
レコ『これは…』
この髪飾りは、レコが森で迷子になり
アキと出逢ったときにも、彼がつけていたもの。
アキ
『ニンゲンがレヴィ=センスの中で生活するには、もう少し時間がかかりそうなんだ。』
『だから甲獣たちにお願いして、もう少しの間、里に出て行くのを待ってもらっている。』
『みんなでかわりばんこにね』
『でも、僕の力も限界だ。あとは君にお願いしたい。』
レコ
『アキ!…』
アキの生命力がどんどん弱まっていくのがレコには分かる。
まるで操り人形の糸を一本ずつ切っていくように。
レコは髪飾りを着けたときから、全てを理解した。
自分が今度は”甲獣を抑える役”の一人になったことを。
『大丈夫。レコ。
君なら立派に甲獣たちを抑えていられるさ。』
もう里には戻れないこと。
大変な役まわりになったこと。
レコにはそんな事はどうでも良かった。
ただただ、アキともう会えないことに泣いた。
例えレヴィ=センスと消えたアキに、
守られていると分かっていても。
『泣かないで。これからはずっと一緒だから』